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2017年05月20日

『告白』レビュー:違和感たっぷりの進行

湊かなえ原作、松たか子主演。

最愛の娘を殺された先生が、殺した犯人である生徒二人へ復讐するお話。
この手の話によくあるような偽善的な展開が一切なくてそこはとてもよいのだけれど、物語の進行に違和感がある。

松たか子演じる女教師は緻密に復讐計画を練るのだけど、いくら犯人である中学生二人を追いつめるよう計画したところで、あんな風に精神的に壊れるだろうか。

それが計画の範疇なのだとしたら随分ご都合主義だし、勝手に壊れたならお粗末な計画と言わざるを得ない。

そして表現方法がとても稚拙に感じる。

精神が壊れたら叫ぶ。みんな叫ぶ。
そして血を見たら悲鳴。
鼻血を見たくらいで悲鳴をあげる子なんているのだろうか。

最後、主犯の生徒が自らの母親を自作爆弾で吹っ飛ばしてしまったことを聞いて大声で叫び続けるのだけど、1分もしないうちに男性教師やら何やらにつまみ出されるはず。
今や部外者となった女教師の独白を皆が黙って聞いてるのも不自然すぎる。

この手の報復系の話だと、特に日本での作品の場合は復讐を結局諦めることが多くて、そんな陳腐で偽善的なストーリー展開に飽き飽きしていた多くの人には新鮮で良い展開なのに、小さな違和感の積み重ねで素直に楽しめない。

非常に残念。





posted by tom at 01:43| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月28日

『この世界の片隅に』レビュー:想定の範囲内で進行する戦争映画

想定の範囲内でストーリーが進行するいわゆる戦争アニメ。
反戦が主テーマなのだろうが、残酷な描写をかなり抑え目にしている印象。

以外ネタバレレビュー。

物語は広島出身の主人公すずの視点で進行する。
相手がどんな人かも分からず嫁ぐことになったすず。
この時代の嫁という立場に同情を禁じ得ない。

我々は広島という街でこの後何が起こるか知っている。
それを知りながら、刻々のその出来事に向けてカウントダウンされていく。
画面には定期的に年月日が表示され、この否が応にも緊張感を高めていく描写はとてもうまいと思った。

ストーリー上のピークはこの広島の原爆投下場面ではなくて、その少し前、空襲の嵐で落とされた時限式爆弾により、嫁ぎ先の義理の姪っ子を右手ともども吹っ飛ばしてしまう部分。
何とも痛ましい展開だが、これ以外には目を背けたくなるような残酷描写はあまりない。
それ以外はほとんどがすずの日常をのほほんと描いたものだ。
戦況が熾烈を極めるにつれ、温和なすずも思い悩む場面が増えてはいくが、基本的には想像していたような悲惨な体験は出てこない。
が、逆にその悲壮感のなさが戦争の悲惨さをくっきりと表現している。
家族集まってわいわい過ごすのが当たり前だったものが、戦争により1人、2人と減っていき、皆それを当たり前のように受け入れ、そして空襲が日常茶飯事になることも満足な食事をとれなくなっていくことも、当たり前のように受け入れていく。
それが日常になっていく。
それがどれほど悲惨なことか。

渦中の人間にとってみればこの劇的な変化も連続的であるがゆえに受け入れられてしまう、受け入れざるを得ないものなのかもしれないが、冷静になって考えてみると恐ろしいことだ。
家族が消えていくことも、街が火の海になることも、満足に食事をとれないことも、どれもこれも今の成熟国家日本からすれば考えられないことだ。
想像だにしたくないことだろう。
それを日常として受け入れざるを得ない、戦時中の日本。
それを残酷描写や悲壮感を全面に押し出すのではなく、日常をくっきり描くことにより表現する。
話題になるのも頷ける映画だ。

主人公すずの声をあてているのんも素晴らしい。
女優でありながら全くの違和感なく視聴することができた。





posted by tom at 18:26| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月22日

『聲の形』レビュー:人間のグロテスクな負の部分をリアルに描くもやはりファンタジー

ネタバレ注意。

前半のいじめ描写はとてもリアル。
というかあれは完全に学校側が悪いでしょう。

耳が完全に聞こえない女の子を普通学級に放り込んだらどうなるか想像がつくはず。
しかも担任教師による明確なフォローなし。
もはやこれだけ様々な種類のいじめが取り沙汰される世の中ならば、多くの人と違う者を排除しようとするのは、どの集団でも起こり得るべきこととして対策を立てておくべきでしょう。
システムで防ぐしかない。
それを何の対策もなく、普通学級に放り込むなどありえないことですね。
その意味で言えば石田くんも被害者なわけです。

このアニメは、特に前半では目を背けたくなるようないじめ場面が描写されていますし、それは現実社会でも日々起こっていることですが、やはりアニメなのでかなりマイルドなテイストになっています。
その最たる要因は西宮さんがかわいすぎること。
学校一、いや1000年に一度レベルの美少女として彼女は描かれているわけです。目はぱっちりクリクリ、髪はサラサラ薄紫、そしてスタイルも抜群です。声だって尋常じゃないくらいにかわいい。我々現実社会の人間からするとね。
これらの異常なまでのかわいさがあれば、何やらいじめ描写もマイルドで、皆が彼女に手を差し伸べたくなるのも頷けるものになりますが、現実社会はもっとずっと本当に悲惨でしょうね。

個人的には西宮母が石田母に土下座する部分が一番の泣きポイントでした。





posted by tom at 23:25| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

『君の名は。』レビュー:ご都合主義な展開が多いけれど、とても応援したくなる良映画

素晴らしい映画。
ネタバレ全開でレビューしますね。
未見の方でこの映画に興味がある方は何も情報を入れないですぐ観てしまうことをおすすめします。

高校生の男女が入れ替わる、という設定を理解した段階でもう敬遠しそうな内容で、事実、開始直後のこの入れ替え描写で少しゲンナリしました。
この設定ではリアリティあるようには描けないだろうと思いましたからね。

自分の体が誰かと入れ替わったのでは、と気付いたら少なくともその日は入れ替わった先の人間の日常を過ごそうなんて考えないはず。
学校に行こうなんて考えないだろうし、バイトしようなんて気にもならないでしょう。
半日は茫然自失なんじゃないかな。
ましてや性別まで変ってるわけで。
でもこの映画では入れ替わった事実を割とすんなり受け入れて、入れ替わった先の日常にすんなり適応していく。
もやもやしながら前半は視聴していたのだけれど、物語が進行するにつれてそんなことはどうでもよくなりました。

とにかく絵がキレイで、設定も作り込まれていて、緩急のつけ具合が絶妙なので、グングン物語に引き込まれていきます。
結果、かなり荒唐無稽かつご都合主義な展開のオンパレードなのだけれど、それでも瀧と三葉の二人を応援したくて応援したくてたまらない気になっていきます。
新海監督の過去作を観た人なら、ラストきっとすれ違って終わるんだろうなと考えながら観てると思うのだけど、もうそうならないでくれ、二人を出会わせてやってくれ、ハッピーエンドで終わらせてやってくれ!お願いだ!!そんな風に懇願してしまう自分がいましたからね。
驚きました。

時間軸が3年もずれてるのに黄昏時にはすんなり会えてしまったり、1000万人以上の人間が跋扈する東京の雑渡で二人が割とすんなり出会えてしまったり、口噛み酒を飲んだら死んだはずの三葉とまたすぐ入れ替われたり、今までは相手の名前とかはっきり覚えてたのにクライマックス付近では歩くたびにどんどん相手の情報を忘れていったり、結構都合よく展開する場面があるんですが、そんなことはもうどうでもよくなります。
それ以上に丁寧に描かれた設定と伏線で、隕石のことを知った後くらいからは、もう二人に感情移入しまくってますから。
素晴らしい手腕ですね。これは。
惜しむらくは三葉がお父様を説得する部分でしょうか。あそこは省略せず描いてほしかったですね。
おまえは頭がおかしいから病院に行けとまで言われた父親を説得するのは並大抵ではないでしょうから、何かしらの秘策があったはず。
もしくはおばあ様が協力したのか。
いずれにせよここは描いてほしかったところです。

緩急のつけ具合も素晴らしく、前半ただの入れ替わり学園モノと思わせて、いきなり隕石のくだりで絶望に突き落とし、もしかしたら三葉を救えるかも、ともう一度上げてでも二人は出会えず5年の月日が経ってしまって、ここでかなり視聴者をやきもきさせてからのラストシーン。
いやぁ、ほんと素晴らしかったです。
これを味わうには一切ネタバレせずに事前情報を入れずに観るしかないですね。

そして今作は声をあてている方々も素晴らしいです。
俳優がメインの方もいますがほとんど違和感ありません。
というか、とてもうまい。
特に瀧の神木隆之介君と奥寺先輩の長澤まさみさんは素晴らしかったです。
一切の不自然さを感じませんでしたし、いわゆるプロの声優の方とは違ったオーバー過ぎない芝居でした。

そうそう、口噛み酒を瀧に飲まれたと知った三葉の反応、とても新海監督らしくていいですね。




posted by tom at 04:14| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月11日

『スーサイド・スクアッド』レビュー:設定もストーリーもダメダメ

ここまで設定もストーリーもダメダメな映画を久しぶりに見た。
何なんでしょうこれは。

途中から見るのが非常に辛かったのだけれど、何が一番いけてないってバランスだと思う。
戦力のバランス。

敵は魔女で瞬間移動からサイコキネシスまで使いこなすまぁ何でもありのチートキャラ。
味方側は銃が100発100中だろうがただの人間がメイン戦力だし、あとはぶっ飛んだお姉ちゃんにただの軍人にその他もろもろ。
炎を出せる人間が出てきてここでも萎える。
超能力系を出すならそれで統一してほしい。
でないとバランスが悪くて全く感情移入できない。
戦力が違い過ぎて楽しめない。
絶望的な物理的戦力を頭脳で埋めるとかならまだしも、完全に力対力だからなんでこういう対決にしかたったのか、理解に苦しむ。

ぶっ飛んだお姉ちゃん(ハーレイ・クイン)の強さも裏付け描写がないから、なぜチートキャラである魔女の不意をああも簡単につくことができるのか謎だし。
日本刀キャラも棒読みの日本語垂れ流しでとてもこちらの視聴意欲を削ぐ。
もうすべてがダメ。
すごい。

ストーリーも意味不明。極悪人を集めてチームを作る理由もわからないし、彼らが最後まで戦い続ける理由も不明だし、いつの間にやら皆とてもいい人になって仲間のためにとか言いだすし視聴者を置いてく感が半端ない。

もうストーリーの妥当性を理性的に考えないで適当にドンパチやっているのを楽しむくらいのスタンスじゃないととても見ていられない。

実は監督の撮ったものと違うとかスケジュールがタイト過ぎたとか何やらきな臭い裏話がたくさんあるけれど、そんなものは見ている人にとっては全く関係ない話。
本当にみているのがつらかった。
もう少し何とかならなかったのか。






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2015年08月23日

『時をかける少女(2006年アニメ版)』レビュー:鑑賞に忍耐を要する映画

鑑賞に多大な忍耐を要する。
まず声優がひどい。もう本当にひどい。なぜプロの声優を使わないのか。もう下手過ぎて話にならない。
脇役だけでなく主役関連のキャラもこうだと観ているのが辛くなる。

誰が誰を好きだというのがやたら重大ごとのように描かれるのも違和感がある。誰もが高校時代こうだったわけではあるまいに、日々の関心事のレベルが低くて全く共感できない。

ストーリー展開も非常に雑。
主人公の友人である康介が事故を起こしそうになる場面があるが、いくらブレーキが壊れてるからといって、主人公と同じ場所で事故るわけがない。あの急坂で事故るまでブレーキを使わないというのもありえないし。仮にあそこまでブレーキを使わなかっとしても、あんな急な坂なら降り始めた瞬間からブレーキを握るもんじゃないの?普通は。ここまで展開のリアリティを放棄されると全く映画に感情移入できなくなる。サマーウォーズに通ずるものがあるが、SFは何でもありではない。物語の設定は現実世界ではありえないものでも一向に構わないが、決められた設定の中では徹底的に論理的整合性をとるべき。でないと見ている側が細かい突っ込みどころでつまずいてしまってストーリーを楽しめない。

posted by tom at 04:25| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月22日

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』レビュー:絶望感描写は最高!かなりの出来

全く期待せずに見たらかなり面白かった。漫画は今のところ全巻読んでいるが、特にファンというわけではない。そんな私が見て充分楽しめた。
話題作目白押しの2015年夏の映画で、ターミネーター、ジュラシック・ワールド、ミッション・インポッシブル、進撃の巨人と見てきて、まさかの進撃の巨人が1番の出来。
昨年のるろうに剣心と同様、この荒唐無稽な物語をうまく実写化できるわけがない、そんな期待値の低さが功を奏したのだろうが、それをさっ引いてもダントツで緊張感があった。
4Dでの鑑賞。少し揺らし過ぎな感はあるが、迫り来る巨人と振動効果の相性は抜群。巨人の食事シーンでのミスト効果もとても合う。

以下ネタバレ。

前半30分はほぼ完璧である。巨人が登場して人類を蹂躙し、圧倒的な絶望感を植え付けていく。ここはもうかなりの完成度で、画面に釘付けになった。巨人の登場シーンにも違和感はなく、超大型巨人が空けた穴からわさわさ巨人が入ってくるシーンの絶望感たるや凄まじい。巨人が人類を食す部分も変にぼかすことなく描いていて、巨人の恐ろしさ、容赦のなさがこれでもかと伝わってくる。素晴らしい。

ところが中盤以降、立体起動装置が出てくるといささか失速する。リアリティのない動きで素直に楽しめなくなるのだ。ミカサやシキシマ隊長の登場戦闘シーンも、中盤の最大の見せ場のはずが、動きが不自然過ぎて驚嘆できない。それにありえない登場人物達の行動も減速に拍車をかける。お気に入りのミカサをとられたからと言って突然外へ出て叫び出すエレンも意味不明だし、ミカサはオレのもの的に自慢し出すシキシマ隊長の行動はもっと意味不明だ。さらに壁外のいつ巨人が現れてもおかしくない廃墟で突然エレンを誘惑する人妻の行動も意味不明。こういう到底理解できない行動を登場人物達がとると一気に醒めてしまう。

登場人物の改変で唯一不満なのが、実質的にはリヴァイ兵長であるシキシマ隊長のネーミング。戦闘力の高さや立ち位置から明らかにリヴァイ兵長なわけだから、わざわざ彼だけ名前を変える意味が分からない。素直にリヴァイのままでよかったと思う。
石原さとみ演じるハンジは突き抜けていてよかった。
ミカサがエレンラブでなくなったのは別に問題なし。
でもおそらく次回作でエレンラブになるのだろう。このツンツン具合はその布石なのかもしれないが、頼むからそんなラブコメ要素は入れないでほしい。無理だろうが。

前半のままの勢いで立体起動の動きを工夫したら、歴史に残る作品になっていたかもしれない。



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2015年08月21日

『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』レビュー:過去作に比べると圧倒的に地味

過去作と比べるとストーリーもアクションも敵も一番地味。イーサンも弱体化してるのかキレがない。あっさり捕まるし、なんか間抜けな印象。

以下ネタバレ。

IMFがCIAと衝突し解散してしまう。イーサンは単独彼をはめたシンジケートを追う。
シンジケートといっても出てくるのは3人くらい。主格は元英国諜報員。最後は彼を防弾の箱に閉じ込めておしまい。
ほとんど対決シーンもなく、最後のご対面まで引っ張っておいて最後はあっさり。

主なアクションシーンは冒頭の飛行機の壁面張り付き、時間が限られた水中でのデータ交換、カーチェイス、バイクチェイス。
序盤の飛行機張り付きは確かにハラハラするが速攻終わる。
バイクチェイスはかなりいい。ものすごいスピード感でトム・クルーズも顔出しで頑張ってる。
これ以外のアクションはパッとせず。

なんか全体的に緩んだ感じ。緊迫感がない。
3>4>5>2>1という感じかな。
4のゴーストプロトコルは前半に限ればダントツで面白い。

posted by tom at 22:27| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月20日

『ジュラシック・ワールド』レビュー:予定調和過ぎて緊迫感なし

予定調和過ぎてで正直がっかり。子供の視聴も想定してるからか、緊張感がほぼない。1作目のジュラシックパークはかなり緊迫していたのだが。

以下ネタバレレビュー。

ジュラシックワールドが開園し、連日超満員。
運営者のクレアは客を呼ぶためにティラノサウルスに様々な遺伝子を追加した最強の恐竜インドミナス・レックスを新たに作り出す。
案の定そんな大それた所業は波乱を呼び、インドミナスは脱走し、追跡の軍隊はあっさり全滅、インドミナスの体当たりで翼竜園に穴が空き、それらが大量に逃げたしたことで園内はパニックになる。
海兵隊出身で飼育係のオーウェンはラプトルを飼い慣らすほどの腕前。
初めは渋っていたもののラプトルをインドミナス追跡の手段にする。このアイディアはなかなかいいと思うのだが、インドミナスに会った瞬間ラプトルはインドミナス側になる。インドミナスにラプトルの遺伝子が入っていたからだというのだが、拍子抜け。犬の遺伝子が強く入ってて、強い者に従ったとかのほうがまだまし。
土壇場の土壇場で結局ラプトルはオーウェン側につき、インドミナスに反旗を翻すも体格が違いすぎる。全くかなわない。蹴散らされるラプトル。それを見て意を決したクレアはティラノサウルスのゲートを開き、ティラノサウルスをインドミナスにぶつける。が、ティラノサウルスをも上回る戦闘力を持つインドミナス、ティラノサウルスは追い詰められ首に噛みつかれそうになるその瞬間、生きていたラプトルの1頭、リーダーのブルーがインドミナスに果敢に衝突する。勢いを取り戻したティラノサウルスとラプトルはインドミナスを追い詰める。最後は血の匂いを嗅ぎつけ水中から突如として現れたモササウルスがインドミナスを水中に引きずりこみインドミナスは絶命する。

恐怖顔担当役としてパークを訪れた兄弟にもフューチャーして彼ら目線でストーリーが進むが、これもありきたりで、この人らは死ななないのね、とタカをくくってしまって緊張感が全くない。お子様向けでもあるから仕方ないのだろう。
ティラノサウルス登場でインドミナスとぶつかるシーンは男の子大歓喜だろうな。
最後のティラノサウルス+ラプトルvsインドミナスという構図はとてもいい。かつての最強キャラと準最強キャラがタッグを組んでより強い新キャラと戦う、というのはドラゴンボール的な王道パタンで、大抵の男の子は心踊る。しかしそれもあまり活かしきれていない。
これは分かりづらい対戦構図のせいである。ティラノサウルスとインドミナスの見た目が似すぎていて、絡むとどちらがどちらか分からないからだ。せめて色を大きく変えるとかしてほしかった。せっかく途中でインドミナスの体色はホワイト、という設定も出てきてるのだから、ティラノサウルスと見分けがつくような色にしたら、最終決戦ももっと盛り上がったろう。
最後の最後で全て持っていくモササウルスが最強か。ものすごくデカイワニみたいな感じで水中からバクッとインドミナスの首に食らいつき、水中に引きずりこむ。

残酷描写もほとんどなく子どもでも鑑賞可能。その分強烈なスリルを求める大人の鑑賞には辛いものがあるが。
posted by tom at 16:47| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月19日

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』レビュー:設定の雑さが足を引っ張る残念な出来


ストーリーと設定の雑さが足を引っ張っている残念な出来。
一つ一つのアクションはいい。迫力もあるし手に汗握る。
シュワルツェネッガーをはじめとする俳優陣の演技もいい。
音響もド迫力だ。
でもストーリー展開と設定がダメダメで心の底から楽しめない。
2がかなり完璧に近くそれと比べるのは酷なのだろうが、それにしても今回のストーリーは突っ込み所が多すぎる。
前半は楽しめる。特に最初の世界が核ミサイルで崩壊するシーンなどとてつもない迫力だ。
しかしストーリーが進行するにつれ、緊迫感はなくなり粗ばかりが目立つようになる。
アーノルド・シュワルツェネッガーのターミネーターが見れたらそれで満足、細かいことは気にしない!という人なら文句なく楽しめるだろうが、冷静に一つの映画として見ると突っ込み所が満載である。

以下ネタバレ全開で突っ込み所を羅列する。

敵がなぜか戦闘力を抑えている
これが一番の不満。旧作ターミネーターは敵が問答無用で持てる力を全て発揮して主人公たちを殺しにきていた。特に2のそれは素晴らしく、その迫りくる恐怖がかつてないほどの緊迫感を生んでいた。
それが今作ではなぜか殺せるシーンで主人公たちを殺さない。T1000がカイル・リースに迫るシーンもカイルはさしたる危機を迎えることもなくT1000から逃げおおせている。自動車並の速度で走れて、左右の手を刃物へ自在に変えられるT1000ならば、逃げるカイル・リースに追いつきあっさり殺すことが可能なはずだ。
極めつけは今作最強の敵であるスカイネットと融合したジョン・コナー。T1000をも上回るその戦闘力を発揮すれば、サラ達を葬ることなど造作もないはずだ。バスに乗って逃げるサラ達に迫るときも、わざわざバスの下に潜ってブレーキを切断したりと割と地味なことをしているが、そんなことをせずとも機銃関連は効かないし、磁力パンチだって一撃必殺ではないのだから、バスに進入してさっさと刺し殺せばいいのに、なぜかそうしない。T800ともなぜか殴り合ったりして本気で倒そうとしない。本気を出せば瞬時にかたがつくはずだ。事実、最後に本気を出した際はT800の片腕をあっさり切り落としている。はじめからその力を出せばいい。サイバーダイン社での戦闘シーンでも、サラに追いつき首に手をかけながらなぜか殺さない。T800が爆弾のスイッチに手をかけた後なら分かるが、殺すつもりならばさっさと殺せるはずである。
このようになぜか敵が手加減をするから、全編を通じて全く緊迫感がない。

T800が頑丈過ぎる
これも緊張感を落とす大きな要因。今作ではシュワルツェネッガー演じるT800はほとんど不死身である。高速で移動するバスから落とされようが、ミサイルよろしくヘリから別のヘリに突っ込みそのまま墜落しようが、致命的なダメージは負わずに復活する。過去作を見た人ならT800ってこんな丈夫だったっけと誰もが思うはずである。ヘリのシーンではあんな衝撃を受けたらバラバラになってもおかしくないし、少なくとも表皮部分は全部溶け落ちているはずである。

敵の意図が不明
スカイネットは何がしたかったのだろう。過去作はこれが単純明快で、とにかくジョンやサラを殺そうとしていた。それ以外になかった。今作ではわざわざ正気のジョンのふりをして2人に近づいたりしている。殺すつもりなら会った瞬間に殺せばいい。もしサラやカイルを懐柔し、スカイネット破壊を阻止したかったのであれば、もう少し賢く2人を説得するシーンを描けばよかった。

なぜか敵にとどめをささない
最後のサイバーダイン社での戦闘シーン。T800が投げた鉄片によりジョンと融合したスカイネットは足止めされるが、ジョンを放置したまま3人は先へ進む。こんな脅威を放置して先に進むなんて信じられない。後で迫り来るに決まっているのだから、動けないこの瞬間にお得意の磁力パンチで完膚なきまでに叩き潰せばいい。なのになぜかそれをしない。磁力パンチではとどめをさせないのか?だとしたらそうした描写があってもいい。こんな危険な最強の敵を足止めできたのに何もしないことに違和感たっぷり。

なぜかバージョンアップするT800
スカイネットと共に崩壊したかに見えたT800が液体金属版になって返ってくる。なんで?誰がそんなことを?そうしたストーリー展開にしたいならせめてT800自身が予備電源か何かで自らをバージョンアップするシーンを数秒でもいいから描いて欲しかった。サイバーダインの研究所にいたのだから場所はばっちりなはず。

無用な伝言を自身にするカイル
カイル・リースが幼少期の自分にジェニシスがスカイネットであることを伝言するシーン。この時間軸ではすでにスカイネットは破壊され、将来スカイネットは起動しないはずだからその伝言は意味はなさないのではなかろうか。何のための伝言なのか甚だ不明である。

平行時間軸(パラレルワールド)を許容したことによるパラドックス
今作ではパラレルワールドがいくつもあるという設定を許容している。曰く未来に大きな影響を与える出来事が起こると時間軸が分岐し、パラレルワールドができるらしい。この設定が細かく説明されていないので想像の域を出ないが、未来から過去へタイムトラベルし、過去の大きな出来事を起こさなくすると、分岐した時間軸により生まれたパラレルワールドは消滅するのだろうか。
消滅するのだとすると、長大な時間軸の中で時間軸の分岐などそれこそ無限にあるだろうから、自分たちの生きるこの時間軸もまたいつ根元から消滅するか分からないわけで、(第二次世界対戦を阻止するためのタイムトラベルとか、もっと遡ってイエスの処刑を阻止するタイムトラベルが起こってもおかしくない)この戦いそのものが無意味な気がしてならない。
消滅しないのだとすると、仮にこの時間軸でスカイネットを出現させないことに成功したとしても、スカイネットが支配する世界が存在する時間軸から延々と刺客がこのタイミングにタイムトラベルで送られてくるわけで、今回のスカイネットへの勝利はさらにもっと全くの無意味になってしまう。いずれにせよ、パラレルワールドを許容してしまうと、スカイネットとの戦闘に勝とうが負けようがどっちでもいいことになってしまう。この手のパラドックスはターミネーターシリーズに限った話ではなく、タイムトラベルもののSFにはついてまわる話なので、緊迫感をなくしてしまう突っ込みどころよりは許容できるのだが。

このように種々の突っ込みどころがあるために、今作は素直に楽しめなかった。
でもそれは決してつまらないということではなく、期待値の高さの裏返しなのである。
ストーリー上の細かい突っ込みどころはいいから、せめて敵をもっと無機質に描き、単純明解にただただ主人公達を殺すために全力で迫ってくる、主人公達も全力でそれを阻止する、そうして2時間極上のスリルを味わわせてくれればターミネーターとしてはそれでよいのである。そうした原点回帰は今の時代の脚本では難しいことは承知しているが、次回作に期待しないわけにはいかない。

posted by tom at 13:50| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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